富士宮での普及率95%!「黄色いハンカチ作戦」が命を救う

2017.11.27 公開

あなたのおうちに、「黄色いハンカチ」はありますか?
「黄色いハンカチ」というのは、これ。

震度5強以上の地震が発生したときに、
このハンカチを家の目立つところに掲げることで、
「わが家は全員無事です(他の方を助けてあげてください)」
と示すことができます。

大学進学と同時に富士宮を離れていた私は
その存在を全く知らず、
一昨年、出産を機に富士宮へ戻ってきた際に、
実家でこのハンカチを見つけて知りました。
(実家で見かけなければ、知らないままだったかも…)

富士宮で考え出されたこの取り組みは
「わが家は大丈夫黄色いハンカチ作戦」と名づけられ、
2008年に富士宮市の防災事業としてスタートしました。
現在では、全国各地の自治体でも取り入れられています。

開始から9年が経つ富士宮市では
どれくらい浸透しているのでしょう。

富士宮市危機管理局の望月さんと河本さんにお話をうかがいました。

市役所の地下へ潜入!

危機管理局があるのは、富士宮市役所の地下1階。
エレベーターに乗って地下へ向かいます。

危機管理局ってどんなところなんだろう。
“危機管理”という名前からして
ピリピリした雰囲気のところなのかしら、と勝手に想像しながら
おそるおそる中へ。

ピリピリしているどころか、
むしろ逆に、和やかな雰囲気のなか、
黄色いハンカチ作戦について
わかりやすく説明してくださいました。

黄色いハンカチの普及率は95%!

2009年にスタートした黄色いハンカチ作戦ですが、
この9年でどのくらい普及したのでしょうか。

地区単位で考えると、黄色いハンカチは
これまでに、市内127地区のうち121区で購入されており、
普及率はなんと95%!

自治会長さんの間で、この作戦のことが話題になり、
じわじわと広まっていったのだといいます。

とはいえ、黄色いハンカチが手元にない!
という方もいるのでは?

作戦に使う黄色いハンカチは、
黄色い布であれば、どんなものでも構わないとのことですが、
公式のものは富士宮市役所の危機管理局で買うことができます。

1枚400円。遠方の場合は電話やメールでの注文も受け付けているのだそう(送料は発注者が実費負担)

販売枚数は延べ6万枚を超え、今も売れ続けており、
市外からの注文も多いのだとか。

これほどの枚数を、いったい誰が作ってきたのでしょう?

黄色いハンカチを作っているのは、
市内の小規模授産施設です。
一枚一枚、ていねいに手作りされています。

販売窓口となるのは市ですが、
売り上げ代金はすべて授産所へ渡しているとのこと。

「わが家は大丈夫黄色いハンカチ作戦」が商標登録されているのも、
小規模授産所の利益を守るためなのだとか。

黄色いハンカチ作戦は、
地震のときに命を助けるのに役に立つだけでなく、
小さな授産所の収益にも貢献できる仕組みになっているのです。

最大震度6強! そのとき、作戦は?

2011年3月15日に起きた地震では
市内で最大震度6強を記録しました。

そのとき、黄色いハンカチ作戦はどうだったのでしょう?

「無線でも、黄色いハンカチを掲げるように呼びかけました。
ただ、各地の自主防災会によると、
黄色いハンカチを掲げてくれていたご家庭は少なかったようです」

と河本さん。

このときの地震では、震度のわりに被害が小さく、
また、市内でも震度にバラつきがあったことも
関係していたのではないかとのことです。

「黄色いハンカチ作戦のことを、もっと広く知ってもらいたい」
と熱く語る望月さんは
一方で、次のような課題もあると言います。

「黄色いハンカチを掲げているということは
“避難していて留守”という目印にもなり得るので
空き巣の被害を心配する声もあります」

黄色いハンカチ作戦では、
震度5強以上の地震が発生したとき、
自分の家が無事なら黄色いハンカチを掲げます。

その後、近隣の家を確認し、
必要に応じて声かけや、可能な限り救助活動などをし、
町内で決めた一時避難地へ集まるというのが一般的な流れです。

そのため、黄色いハンカチを掲げているということは、
「我が家は無事だったので、一時避難地へ行っていて留守です」
というサインにもなりかねないのです。

多くの命を救うための作戦が、
空き巣の被害を増やしてしまったのでは悲しすぎます。

それぞれの自治会に合った形で
運用方法を工夫する必要があるかもしれません。

いざというときは、隣近所での助け合い

黄色いハンカチは、隣保班で迅速に安否確認を行うためのツールですが、
いざというとき、
「うちは無事だったけれど、お隣さんは大丈夫かしら?」
と隣近所の様子を一目で把握し、
いち早く助け合うための目印にもなります。

ふだんから隣近所とのつながりを持ち、
自治会に入っておくことが、
結果的に救命率アップにつながるのです。

富士宮市では、8月の最終日曜と12月の第1日曜に
防災訓練が行われています。

転入してきたばかりの方はとくに、
自治会に加入して、防災訓練に参加してみると
いざというときに安心かもしれません。

 

ハハラッチ編集部より
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ハハラッチライター

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ふーみん

ヨガインストラクターだけど夜ふかし大好き♡ 富士宮市出身。1児の母。奈良、横浜を経て、出産を機に富士宮に戻ってきました。季節の移ろいに合わせて身体をつくる「こよみヨガ」のインストラクターとしても活動中。四季折々の富士宮の魅力を発信していきます。

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