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富士宮市の魚であり名産品、ニジマス。
普段お目にかかることのないニジマスの卵を、おうちで育てる楽しいイベントがありました!
小さな命たちとの1か月はどんなものだったのか?
どうぞお付き合いください。
去る1月、広報ふじのみやで発見したこんな文面。
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「にじますの卵を育ててくれる”育て鱒ター(そだてマスター)”を募集します」
育て鱒ター……
このナチュラルにダジャレをはさんでくる感じ、非常に富士宮らしいネーミング。
これはぜひともチャレンジしたい!
ペットボトルにエアポンプ(ぶくぶく)、前日からお水もスタンバイOK。
配布日の1月26日、富士宮市役所へと向かいます。
受付をして卵をもらおう
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平日の15時ですが、子どもたちが続々とやってきます。
まずは申込書に必要事項を記入。
こちらに書く名前は無事放流できるともらえる認定証に記載されます。
そしておまちかね、ニジマスの卵とご対面。
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すごい量!
山盛りです、そしてまごうことなきイクラそのもの。
この豪快な絵面、鮮魚市場で見覚えが。
主婦は全部でおいくらになるのか気になるところ……
生命の宿った卵たちが、どさっと机に置かれているのもおもしろい。
この時期はお水に浸かっていなくても大丈夫なんですね。
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職員さんが卵を入れてくださいます。
我が家がいただいたのは14粒。
「発眼卵」という、卵の中に黒い眼がわかるくらいに育った状態です(受精から3週間)。
ちなみに15000粒ほどの用意があるそう。
早く行かないと受付終了してしまうかとドキドキしていましたが、安心しました。
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子どもにもわかりやすく飼育の説明をしていただけます。
「育てるのは難しく考えなくていいですよ」と、心強いお言葉!
気軽に育ててもらえるように、とペットボトルをおすすめされていますが、飼育容器はなんでもOK。
不注意で倒してしまいそうなので(私が)、もう少し大きいものを探そうかな?
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これから家庭で飼育し、3月3日のにじます祭の日に浅間大社横の神田川に放流です。
さあ、めざせ育て鱒ター!
注意
ニジマスは産業管理外来種に該当するため、決められた場所以外での放流はできません。
いただいた卵を放流日当日以外、指定の場所以外に個人で放流しないようにしましょう。
おうちにようこそ!育て鱒ターへの道 1日目
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晴れて我が家にやってきたいくらちゃんたち。
時おりピコピコと動き、とてもかわいい!
容器は100円ショップで購入の円柱状のものに。
四角い飼育ケースが欲しかったのですが、この時期見つかりませんでした……
間口の広い容器が、結果的に観察にも水替えにも便利でした。
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「温度変化の少ない気温の低いところで育ててね」
とのことで、日中薄暗い玄関を置き場所に。
水換え時にリビングで観察します。
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娘も卵に興味しんしん。
観察日記をつけ始めました。
2週目 無事に産まれてくるのか心配に
待てど暮らせど孵化しないいくらちゃんたち。
1週間くらいで孵ってくるよ、とお聞きしたのですが、10日たってもまんまるのまま。
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不透明な白い卵は残念ながら死んでしまったもの。
かわいそうですがカビが発生してしまうため、取り除きます。
(温度管理がまずかった?)
(水替えが足りなかった?)
心配でやきもきするこの感じ、娘がおなかにいた頃を思い出す……
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それでもだんだんと背骨の黒い線が見えてきました。
がんばれ、がんばれ!
13日目 孵化が始まりました
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卵をいただいてから13日。
ようやく続々と孵化が始まりました!
卵の中の成分が出てくるため、水面は泡だらけ。
孵化に失敗して白くなってしまう子もいます。
産まれた子たちはおなかがぽっこり、大きなイクラに魚がくっついている感じ。
この「さいのう」がお弁当になり、しばらくの期間は餌を食べなくても成長していきます。
おもちゃの顕微鏡ルーペで撮影。
のどの部分で小さく心臓が動いています。
心臓の場所、そこなんだ……?
ちなみに一緒に卵をもらったお友達の家ではもっと早くに孵化し始めたそう。
成長スピードは環境の違いにもよりそうです。
3週目 ごろごろも成長への一歩
無事お誕生したニジマスたち。
しかしここまでに6個の卵がお星さまになってしまいました。
生命の誕生は、本当に当たり前ではないのですね。
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時おり地面を走るように動きながら、おなかの重さにごろんと横になり、じっとしています。
一見なまけているようにも見えますが、おなかの栄養をつかって着実に成長していく時期。
透明がかった体もだんだんと大きく黒色に。
4週目 元気爆発!そしてお引越し
あいかわらずおなかの重みに浮き上がることができないいくらちゃんたちですが、動きはものすごく活発に。
ここで問題発生。
用意した容器の底が球状にもりあがっていたため、元気に走り回る子たちは外周を猛スピードで駆け抜ける状態に。
遅く産まれたまだあまり動けない子たちは、サーキットコースで轢かれ続け弱ってしまいました。
ご、ごめん……
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底の平らな味付けのりの容器があったためお引越し。
フタもあり大きさもちょうど良かったので、味付けのり容器、おすすめです。
5週目 だんだんとお魚らしく
飼育も1か月を過ぎると、おなかも小さくなり動きも2次元から3次元的になってきました。
「おなかの栄養がなくなったら、メダカなどの餌を細かくしてつまようじの先っぽぐらいの量をあげてみてね」
とアドバイスをいただいていたので、我が家の金魚の餌を潰してあげてみることに(あげなくてもOK)。
少しずつですが、興味をもってつつく姿が見られました。
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すくすく育ったニジマスたち。もういくらちゃんなんて呼ばせません!
気づけば放流まであとわずか。
そう思うと、まだまだこんなに小さいのに大丈夫なの?
過酷な自然のなかでやっていけるの?
心配もつきませんが、元気にがんばってくれることを信じて。
季節は変わり3月に。
巣立ちの春がやってきます。
にじます祭にやってきた
卵をいただいてからあっという間の37日間。
放流の日がやってきました。
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育て鱒ター稚魚放流会はにじます祭、ニジマス釣り大会と同時開催されます。
今から放流しようとしている神田川は、ニジマス釣りを楽しむ方々で大賑わい。
ニジマス、ガンガン釣られています。
我が家のニジマスたちよ、想像以上に世間の荒波は厳しそうだぞ……?
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受付にはたくさんの子どもたちが、大事に育ててきた稚魚たちを手に並んでいます。
娘も無事、ラミネートされた立派な育て鱒ター認定書をいただくことができました。
他のご家族のニジマスたちもちょっと拝見。
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「楽しかった!」
「ぼくは何にもしてないけど」
わかります、ママがお世話を頑張ったんだね。
大丈夫。我が家もです(笑)
それぞれにきっと1か月と少しのドラマがあったことと思います。
これから一緒に神田川で生きていく仲間たち。
今日からみんな、よろしくね。
いよいよ放流、そして育て鱒ターへ……
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指定された神田川への階段部分で、稚魚たちを放流します。
みんなありがとう!元気に大きくなってね!
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浅瀬には放流されたたくさんの仲間たちが、神田川の流れに負けず元気に泳いでいました。
この子たちの全てが大きな成魚になれるわけではないかもしれませんが、その生命力はとってもまぶしい。
イベントいっぱいのにじます祭も楽しんで、思い出に残る一日となりました。
来年もチャレンジ、しようかな?
帰宅してみると玄関はエアポンプのしゅわぁ……といった音もなく、とても静か。
空っぽの容器を前に、子どもが巣立っていく未来を重ねてちょっと切なくなりました。
育て鱒ター認定証は3年分集めると粗品がいただけるそう。
冬から春へのかわいい玄関の風物詩として、また来年もチャレンジしてみようかな?
子どもも大人も楽しめる育て鱒ターへの道。
富士宮の文化にも触れることができて、とてもいい経験となりました。