目次
※この記事は、「富士宮の粋な女性たちから色々学びたい!」「富士宮の素晴らしさをもっと教えて欲しい!」「移住生活の肥やしにさせて頂きたいです!」というちょっぴり暑苦しい移住者ライターななちに、あたたかくもフレンドリーに学ばせてくれる女性たちを、“みやぁ〜女(ジョ)”と勝手に呼ばせて頂き、インタビューするコラムとなっております。
富士宮に移住してきて、まだまだ知らないことが多い、ひよっこライターななち…。最近まで、子どもっちの“っち”は複数形であることを知りませんでした…。知らないって、恥ずかしい!
さて、突然ですが、ハハラッチ7期生メンバーの「ひろりん」について、ハハラッチ読者様にぜひとも知っていただきたいことがあります。
ひろりんこと伊藤博子さんは、あの藤井聡太さんがおやつコンテストで選んだことで話題となった、どらサンドの開発者さんなんです!
富士宮で愛され続ける和洋折衷スイーツの開発秘話を、なんとご自宅にまでお招き頂いて、ハハラッチすることに成功しました!
ご本人曰く、「ここまで他のメディアでは語ったことはない!」とのことなので、今までベールに包まれていた貴重な開発秘話をお楽しみださい。
明治38年創業。富士山の麓で大自然の恵を生かしたお菓子作りが人気。
お菓子の家もちのきは、和菓子だけでなく、洋菓子の美味しさにも定評があるお店です。
4代続く老舗の和洋菓子店のお菓子開発秘話を、長らく広報を務めているひろりんこと伊藤博子(いとうひろこ)さんにお話しをうかがいました。
ななち博子さん(以下ひろりん)は元幼稚園教諭で、お子さんが生まれてからは、もちのき娘として広報のお仕事をしながら、お菓子の開発にもたずさわっていると聞きしました。どんな風にどらサンドのようなユニークなお菓子が開発されたのでしょうか?
ひろりん「私はお菓子を作ることはしていないんですが、お客さんの反応や声を聞いて、作り手である弟と、共作でお菓子を開発しているんです。弟は職人気質なタイプなんだけど、私は父の影響もあって、どんな商品なら若い世代にも食べてもらえるかの組み合わせや、アイディアを提案してます。」
ななちひろりんの創作意欲の高さはお父様からの影響なんですね。
ひろりん「父は、変わった組み合わせのお菓子をよく作っていて、フルーツ味の羊羹とか、パイにメロンの餡を組みあわせたり…。カスタードクリームのどら焼きは、幻の一品でしたね。」
ななち和菓子も洋菓子も、どちらもしっかりと味を確立させている、もちのきさんならではのエピソードですね(笑)ちょっと食べてみたい。
ひろりん「そんな父のチャレンジャーな組み合わせからヒントを得て、開発したのがどらサンドでした。」
SNSなどの写真で映えるには、断面の美しさが課題。
ななちご自身も4人の男の子のお母さんであり、元幼稚園教諭という視点から、老舗のお菓子職人に新しい風を吹かせたんですね。
ひろりん「私の方は、とにかく買ってくれるお客さんの目線を大事に開発しています。作り手の事情は一旦置いといて提案するので、弟とは“工程を減らしたいVSお客さんに買ってもらいたい”というバトルがよく起きています(笑)」
ななちこれは家族でやっていると、ありがちなバトルですね。(笑)
ひろりん「家族ということもあって、全くお互い遠慮がない(笑)どらサンドの以外にも、色々とリサーチして提案しているけど、何度却下されてきたことか…!」
ななちどらサンドが却下されなくてよかった…。ひろりんの情熱が、あのヒット商品を生んだんですね。
ひろりん「当時SNSでフルーツサンドの断面が流行っていて、どらサンドも切った時の断面にこだわって作りたかったんです。でも、それが思った以上に難しくて…!
どら焼きの皮が普通の大きさではなく、どんどんとクレープのような大きさになっていきました。段々、なにが正解が分からなくなって頭がおかしくなりそうな時期もありましたね(笑)」
ななちどらサンドと言えば、あのフルーツがしっかりと外から見える断面が特徴的ですもんね。見た目の特徴も、ヒットの理由に繋がっているように思います。
ひろりん「正直なところ、自分でもここまでヒットすると思わなかったです。皆が手探りな中、アイディアを出し合って、これでいいのか??そんなのやってみなきゃ分からない!と試行錯誤してできたお菓子なので、富士宮だけでなく、関東の方からも販売のお声がかかるようになり、手に取って頂く機会も増えて本当によかったと思います。」
構想から17年。ついに商品化された、どらレット。
ななちどらサンドがどんどんと有名になるなか、ひろりんが長年アイディアをあたためていた新商品の「どらレット」が発売されました。
初めて食べたとき、モチモチした皮に包まれた、スッキリとした甘さのクリームと相性の良いフルーツの組み合わせに驚き、感動を覚えたほどです。どらサンドとは、また違う味わいですが、開発に至ったいきさつが知りたいです。
ひろりん「どらサンドはボリュームが結構あるので、家族で一人一種類買って、ちょうどよく食べられるような商品があれば良いとずっと思っていました。そこで、どら焼きとオムレットを組み合わせて、色々な種類を作ろうと提案してきましたが、作り手からは反対され続けて、商品化するまでにとても長い時間がかかりました。
それに加えて、あのモチモチの皮に行き着くまでは、本当に大変で…。何度も何度も改良を加えて、ようやく完成しました。試食しすぎて、もう、どらレットの皮は食べたくないと思うほどです(汗)。」
ななちひろりんの飽くなき探究心から、あの新食感スイーツが生まれたんですね。
私としては、もっと多くの方々にこの美味しさを知って欲しいので、全国のコンビニで売って欲しいくらいです(笑)。
ひろりん「今のところ、常時ショーケースで販売しているのは、本店の小泉店のみです。他の店舗では、ご予約頂いてからのお受け取りという形での販売となってます。
どらレットも、県外のお客様に手に取ってもらう機会が増えてきているので嬉しいですね。」
ななちデパートやフェアなどのイベントで精力的に出店をされているので、県内県外者問わず、発見したらぜひ覗いてみて欲しいです。季節限定のフレーバーに出会えるかも。
原点は、おはぎ。和菓子の味を若い世代にも!
ちょうど取材日はお彼岸。お茶と一緒に、おはぎをふるまっていただきました。
ななち老舗の和菓子屋さんの娘として生まれたエピソードなんかあったら知りたいです。
ひろりん「小さい頃から、おはぎの味にはこだわりがありました。あんこやお餅の粒の大きさや滑らかさなど、やっぱり和菓子屋にしか表現できない味があるなと。」
ななちすごく洗練された味ですね。甘さがスーッと抜けていく感じです。考えてみたら、おはぎをちゃんと和菓子屋さんで買って食べたことなかったです。
ひろりん「味を伝えていくには、若い世代にも手にとってもらいたい。そう考えて、私が最初に開発に乗り出したのは、この“焼きあんどうなつあん子ちゃん”です。親しみやすく三姉妹にして、子どものおやつにも選ばれるよう工夫しました。」
ななちこれ、大好きです!!見た目のカジュアルさとは裏腹に、味が本格的で美味しいですよね。
ひろりん「実は、あん子ちゃん三姉妹には、それぞれ性格の設定も存在してます。こしあん、チョコあん、いもあんのキャラクターで、一番上のこしあん子ちゃんはしっかり者とか…(笑)」
ななちひろりん考案のお菓子は、お母さんや子どもたちにとって、親しみやすいコンセプトがいいですよね。初めてもちのきさんにお菓子を買いに行ったとき、子どもにも手に取りやすいお菓子が多くて、あたたかみのある駄菓子屋さんのような雰囲気を感じました。
ひろりん「単なる和菓子屋さんの雰囲気だと、なんだかかしこまって、ちゃんとした菓子折りをある程度買わなきゃいけないようなイメージがあると思うんです。それを払拭したくて、若い世代の家族にも親しみやすいお店になれば…!という思いでお店作りをしています。」
笑顔を支える座右の銘
最後に、ひろりんに座右の銘を聞いてみると、
「笑う門には福来たる」
と答えてくれました。
若い頃から、なにがあっても笑えてたら大丈夫だからと、自然と笑顔で乗り切って来られたのだそうですが、最近になって違う視点からも笑顔でいることの大切さに気づいたとのこと。
私もひろりんからその理由を聞いて、「あ〜なるほど。世の中ってそういう仕組みになってるんだ!確かにそうかも。」と納得の理由でした。ここではあえて記さずに、みなさんが笑顔でいることで、実際に起こる変化を体験してみて欲しいと思います。
最近、笑顔が減ってるな〜と、感じるお母さま方。
一番お母さんの笑顔を待っているのは、子どもたちかもしれません。
頑張っていないお母さんなんて、この世に誰一人としていないと思います。今、私たちに必要なのは頑張ることではなくて、子どもたちと過ごせるかけがえない日々をいかに楽しく過ごせるか?の方が大事かもしれませんね。
ひろりんのお話は、そんな肩の力がフッと抜けていくパワーがありました。