「子どもが第一」だからこそ見つけた、私らしい働き方。書籍ライター&ヨガ講師・松山史恵さん

2025.10.14 公開

夏休みは、極力仕事を入れないようにしているんです。子どもと心置きなく向き合いたいなと思って

優しい笑顔でそう語るのは、書籍ライターであり、ヨガ講師としても活動する松山史恵さん。小学生のお子さんを育てるママでもあります。

「ライター」と聞くと、締め切りに追われる多忙なイメージがありますが、松山さんの働き方はとても穏やか。

そこには、「子どもが第一」という明確な軸と、それを実現するための、しなやかな工夫がありました。

子育てと「好き」を仕事にする、その両立のヒントを伺いました。

文章のプロとして幅広く活動

写真提供:松山史恵さん

松山さんの現在の仕事の主軸は、書籍のライティング。

著者へのインタビューを通して、その想いや知識を1冊の本にまとめる、根気のいるお仕事です。

また、時には、横浜に出向いてライティング講座の講師を務めたり、子どもたちに文章の書き方を教えたりと、「伝える」活動も行っています。

仕事の原点は、会社員時代に経験したインタビュー

写真提供:松山史恵さん

そんな松山さんの仕事の原点は、会社員時代にありました。

出版社の編集者としてキャリアをスタートし、人事部に異動。そこで担当した採用ホームページの社員インタビューが、大きな転機となります。

社員の方に話を聞いて、記事にまとめる作業が、すごく楽しかったんです

この「楽しい」という気持ちが、フリーランスのライターという道へとつながっていきました。

子育てが第一。それを忘れちゃいけないな、と常に思っています」と語る松山さん。そのために、仕事のスタイルも子育てに合わせて「カスタマイズ」してきました。

書籍の仕事は、納期が1ヶ月単位と長いので、子育てと両立しやすいんです。

ウェブの仕事のように、急な取材依頼で慌てることも少ない。あらかじめ『この時間しか取材できません』と編集者さんに伝えておけば、その中で調整してくれます

さらに、執筆スケジュールを立てる際には、「1週間、子どもが熱を出しても大丈夫なように」と、必ずスケジュールに余白を設けるそう。

この徹底したリスク管理が、心の余裕を生み、仕事と子育ての穏やかな両立を可能にしています。

体の声を聞く。ヨガ講師としての道

ライター業と並行して、松山さんが情熱を注いできたのがヨガです。

10代の頃から体のメンテナンスとして親しんでいましたが、本格的に始めたのは会社員時代の体の不調がきっかけでした。

その後、ヨガの魅力にのめり込み、インストラクターの資格を取得。

かつては週に5コマもレッスンを受け持っていましたが、現在は依頼があった時だけ講座を開くスタイルです。

子育て経験は、ヨガの仕事にも大きな深みを与えました。

以前、東京でヨガを教えていた頃、出産後の初めての外出が私のヨガレッスンだった、という生徒さんがいたんです。

終わった後、涙を流して『こんなに自分のために時間を使えたのは久しぶりです』と喜んでくれて。

当時は『そうなんだ』くらいにしか思えなかったけれど、今なら、その方の気持ちが痛いほど分かります

自身の経験を通して、生徒さん一人ひとりの心と体に、より深く寄り添えるようになったそう。

子育てにもヨガの知恵を活かす

松山さんにとって、ヨガは仕事であるだけでなく、子育てを支える大きな知恵にもなっています。

自分の体のメンテナンスはもちろん、子どもが夜なかなか寝付けない時に、呼吸法を教えてあげると落ち着いてくれたことがありました

そんな松山さんに、子育て中のママにおすすめの「ヨガの知恵」を教えてもらいました。

子育てをしていると、どうしてもイラッとしてしまう瞬間がありますが、そこで意識したいのが、「呼吸」だそう。

カッとなった時って、呼吸が浅く、速くなっているんです。そんな時は、意識的に呼吸を整えます。

おすすめは、『吸う時間の倍の時間をかけて、息を吐く』こと。

例えば3秒吸ったら、6秒かけて吐く。息を吐いている時は、心身をリラックスさせる副交感神経が優位になるので、気持ちが落ち着きやすいんです」

もし秒数を数える余裕もなければ、「ただ自分の呼吸を観察するだけでもいい」のだそう。

自分の呼吸が浅いか、深いか。それを感じるだけで、自分の心の状態に気づけます。

子ども主体で自分のことが後回しになりがちな毎日だからこそ、ほんの少しでも自分に集中する時間を作ることで、自分を取り戻せる気がします

これから一歩を踏み出すママたちへ

写真提供:松山史恵さん

最後に、子育てと仕事の間で悩んでいるママたちへ、メッセージをいただきました。

まずは、自分が一番大事にしたいことは何か、優先順位をはっきりさせることが大切だと思います。

私にとっては、それが子どもでした。

だから、仕事のやり方を子育てに合わせた。もし仕事が一番なら、子育てがうまく回るように、外部のサポートなども含めて環境を整えていく。

自分が何を大切にしたいかが見えれば、道は開けると思います

そして、こんな素敵なメッセージも付け加えてくれました。

取材で聞いた言葉で、印象的だったのが、『動けなくても、頭の中は自由』という言葉。

子育て中は、物理的に動けないことも多いけれど、考えること、想像することは誰にも邪魔されない。その時間を大切にしてほしいなと思います

「子どもが第一」という軸をぶらすことなく、しなやかに働き方をデザインする松山さん。その姿は、私たちに「自分にとっての幸せ」を大切にすることの重要性を教えてくれているようでした。

松山さんのこれまでの実績、お仕事に対する想いなどが綴られた公式サイト「纂灯舎」(さんとうしゃ)も、ぜひご覧ください。

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ハハラッチライター

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ミユキ

「富士山きれいだね~!」が口ぐせの転入ママ 埼玉出身。学生時代はマラソンにどハマりし、ホノルルマラソンを完走した行動派。現在は富士山に見守られながら、やんちゃで甘えん坊な男児2人の子育てに奔走中です!子どもにもママにも優しい街・富士宮の魅力をたくさんお届けします。

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