他人ごとじゃない「ダブルケア」
女性の問題だけじゃない「介護」と「育児」の両立をせざるを得ない人がいるというお話
「ダブルケア」ってなんだ?
「ダブルケア」という言葉を聞いたことがありますか?
では「ヤングケアラー」はどうでしょうか?
「ヤングケアラー」は、ニュースなどで取り上げられているので聞いたことがある人もいるとは思いますが、今回、お母さんにとっては「ダブルケア」ということも知っていてほしいと思い記事を書かせていただきました。
メモ
ちなみに、ヤングケアラーとは「法令上の定義はありませんが、一般に、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っているような子どもとされています。」とのことです。詳しくは、厚生労働省のホームページを参考にしてください。
「ダブルケア」とは広い意味では、家族や親族などの複数のケアを同時に行うことですが、ここでは狭い意味として「子育て」と「介護」の同時進行のことを指します。
「え?介護?」
「私は、同居じゃないから関係ないよ」「うちの親はそんな年じゃない」
そういう人も多いと思います。
でもね。中には、子育て中に介護問題が発生をして、そんなママ友にも話せなくて孤立感を強めているお母さんがいるんです。
お母さんの年齢は、様々。でも晩婚も進んでいるし、医療も進んでいるから出産年齢も遅くなっていて、私の同級生の中には、子供も同級生という子も多く、その親の世代は・・・団塊世代といって2025年には75歳以上になる人も多いのです。
メモ
「ダブルケア」という言葉は、横浜国立大学の相馬直子准教授と英国ブリストル大学の山下順子上級講師により創られました。
・幼稚園のお迎え(バス)とデイサービスのお迎え(送り出し)の時間が重なったらどうですか?
・いやいや期の子ども、と大きな音や声に不穏になる認知症の親、どちらにガマンしてもらいますか?
・コロナ禍、子どもは受験や試合で県外に行く必要があります。一方で、家族が県外に行ったり県外者の来訪があったりしたら2週間お休みをお願いをする介護事業所もあります。自分の子どもだけ試合を休ませられますか?受験をあきらめさせますか?子どもだけ隔離させますか?それとも、自分の時間を削って、サービスを休んで自宅で24時間介護にあたりますか?
・子どもはよく熱を出します。今の時期、同居家族が発熱したら、介護サービスもお休みを強いられます。子どもの看護と大人の介護・・しかも感染の媒体にならないように気を使って過ごす・・自分が倒れたらだれが面倒を見るのでしょうか?
そんな悩みを抱えながら、いっぱいいっぱい目の前の「ケア」に向き合っている人がいることを
少しだけでも理解してください。
そして、介護の対象者は、親世代とは限りません。孫世代が祖父母世代を看ていたり、パートナーや医療的ケアの必要な子供、中には独身の親戚の介護をしているひともいます。
また、おむつ交換などの身体的な介護だけが介護ではありません。精神的なサポートや見守り、調理や掃除洗濯といった家事支援なども介護には含まれるのです。
ダブルケアは何が大変なの?
介護は突然やってきます。また、介護は一度始まると、終わりが見えないこともあります。子育ても介護も、相手の要求にこたえるため、常に選択と決断の連続となり、疲弊します。手間や、見守りも多く必要なため、相談の足が遠のき、やっとの思いで相談窓口にたどり着いても、担当課や専門が違うためたらいまわしになり、支援につながりにくいのです。愚痴を言う相手も見つけにくいのです。
もしこの記事を読んで「ダブルケア」について興味を持ってくれたり、自分が当事者だと気づいて、どこか相談してみたいとおもったら「ダブルケア」と検索してみてください。「ダブルケアカフェ」を開いているところもあります。
身近では、私の友達がダブルケアカフェを開いています。
ダブルケアは増えている
わたしも、ダブルケアの当事者でした。1年生と保育園の子ども、100歳超えの認知症で寝たきりの祖母、徘徊はしないけど、歩ける認知症の父、そしてストレスで倒れた夫、そして仕事。幸い、主人は市内の主人の実家で療養してもらい、私は自身の母と協力して乗り越えることができました。
そして、祖母が亡くなり、父が入所し、ようやく子どもの習い事の送迎ができたり、少し落ち着いたころ、同じようにダブルケアを経験した中学の同級生と再会しました。
彼女は、父親が交通事故で要介護状態になり、仕事と子育てをしながら、介護サービスの知識がない母親のサポートが大変で、「こんな思いをしている人はほかにもいるんじゃないか」と調べ「ダブルケアカフェ」を始めてたそうです。
そして、昨年は、中学・高校の同級生や大学のゼミ仲間など何人かの知人から自分もダブルケアであることを打ち明けられました。みんな言えなくて悩んでいました。
介護者予備軍の皆さんへ
介護は突然やってきます。子育ては、先が見えますが、介護は先が見えません。あっという間に終わる方もいますし、長期間介護に携わることもあります。
そして、介護が始まるとサービスの手続きなどが次から次へとやってきます。
だから。今のうちに心の準備はしておいてください。
すこしずつ、相談窓口などの情報も紹介できたら・・とは思っています。
また、もし、身内が主介護者となっていたら、アドバイスではなく寄り添ってください。
介護を受けている側が外の家族にいい顔をすることもよくありますので・・・両方の話を聞いてください。
そして・・・周りにそういうママ友がいるかもしれないと言うことを知っておいてください。相談できない・余裕がない友達が周りにいます。
介護の現状は、きれいごとばかりではありません。認知症のケアは、本当に大変です。報道されているようなきれいごとばかりではありません。成功した他市の施策ばかりに目を奪われないでください。これらの写真のように笑顔で過ごせる日々のほうが少ないのです。普段の様子はとても公に見せられるものではありません。正直、認知症の父の現状に近い写真は公にすることに躊躇し、このような見せられる範囲の写真やイラストの記事となりました。
ダブルケア当事者の方へ
子育てと介護で、心身共に疲れていると思います。
もしかしたら「ダブルケアをしている当事者」という自覚がないまま日々をすごしているかもしれませんね。
ケアマネジャーも少しずつ、ダブルケアについても勉強をし始めています。行政にも関心を寄せてくれている人もいます。
でも、相談できずに悩んでいるようでしたら、ダブルケアカフェのドアをたたいてみてください。
全国に支援者が広がっており、SNSで当事者同士がつながれるコミュニティもあります。
そして、身近でも気にかけてくれている「ダブルケアカフェ」もあります。
~ダブルケアカフェのメンバーより~
「普段ほかのだれかのために頑張っているあなた。月に1回だけど、自分のためにリフレッシュする時間にカフェを使ってね。介護している人を連れてきてもいいし、子供を連れてきてもいいよ。介護の経験者も子育ての経験者もいるから、その間はメンバーが見るよ。お茶1杯でも飲んで、世間話でも愚痴でもして、そのためにここを使ってね」
メモ
現在のカフェの会場は富士ですが、いずれは「富士宮」開催も考えているそうです。仲間は随時募集中とのこと。オンライン参加も問い合わせください。