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3人の子どもを育てながら、現在(株)C.IにてFP(ファイナンシャルプランナー)として活躍する、中村鈴鹿さん。
かつては子育て支援の現場で活動し、現在は、“お金”の不安を抱える人に寄り添い続けています。中村さんが歩んできた道には、子育てをしながらでも自分のやりたいことをカタチにする、生き方のヒントが詰まっていました。
「こんなのあったらいいな」をカタチに
◎これまでのお仕事や活動について教えてください。
出産前はマーケティングの仕事をしていましたが、退職。3人の子どもの子育てをしつつ、2014年にNPO法人母力向上委員会のスタッフとなりました。NPO法人母力向上委員会では、コンビニで子育て支援を行う「べビステ」プロジェクトを立ち上げました。
一番身近なコンビニが子育てママたちにとって便利ではないという現状に注目し、コンビニを子育ての仲間にすべく『コンビニ発の子育て支援事業』としてベビーステーション機能の構築を提案。「第9回企業&NPO協働アイデアコンテスト」で最優秀賞を受賞することができました。

べビステとは…
「ふじのみやベビーステーション」略して「ベビ*ステ」。
コンビニを始めとした富士宮市内の施設で「ハード(モノ)とソフト(こころ)」の両面から子育てに優しいお店を認定し子ども連れのご家庭が安心して外出できるまちづくりを進めています。
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“お金の悩み”に向き合い、FPの道へ
◎何がきっかけで現在のお仕事(ファイナンシャルプランナー)をされているのですか?
子どもが成長し、子育てがある程度落ち着いてきたとき、新たに浮かび上がってきたのが「お金」の悩みでした。
当時は扶養の範囲内で働いており、住宅ローンの返済や将来への不安がありました。そんな中、家計改善の相談をしたことをきっかけに出会ったのが、ファイナンシャルプランナーである現在の上司でした。
家計の見直しだけでなく、金利や貯金の仕組みなど、これまで知らなかった「お金の基本」を教えてもらう中で、自分の世界が広がっていくのを感じました。だからこそ、かつての自分のようにお金の知識がなくて不安を感じている人の力になりたいと思うようになったんです。

そう語る中村さんは、最初はパートで思い切ってFP(ファイナンシャルプランナー)の世界へ飛び込みました。未経験から営業に挑戦し、地道に信頼を積み重ねていくところからキャリアがスタート。現在は(株)C.Iの取締役に就任しています。
子育てと両立しながら知識をつける日々
◎ファイナンシャルプランニング技能士など、多数の資格を持つ、中村さん。忙しい子育ての中で、どうやって勉強時間を確保したんですか?
当時は、一番下の子が小学校1年生。コロナ禍の影響もあり、ちょうど家庭にいる時間が長くなった時期だったので、外出する機会が減り、時間の作りやすさはあったのかも知れません。
日中は現在の職場でパートとして働きながら、勉強する時間は早朝や夜にとるようにしていました。最初は経済や金融の知識が全くなく大変でしたが、知識が増えるごとに面白さを感じるようになりました。社会の流れとつながっていることがわかってきて、ニュースを見る視点も変わっていきました。

講座と個別相談でお金の不安に寄り添う
◎現在のお仕事や活動について教えてください。
現在は、講座や個人向けの無料相談を通して、家計のコストダウンや運用アドバイスを行っています。30〜60代の方が中心で、子育て世代のママたちや夫婦で来られる方も多いですね。
活動で大切にしているのは、「その人がまだ気づいていない課題を発見し、一緒に解決策を見つけること」。たとえば保険の営業のように何かを売るのではなく、生活に必要なお金の知識を伝えたうえで、その人に合った選択肢を提示するスタイルです。
物価も税金も上がっている中で、現実的なお金の目減りをみなさん感じています。金利や税制、基礎的な金融の話をしっかり理解してもらってから、改善策を提案しています。
無料で参加できる大人数向けの講座なども行っています。講座ではあくまで“きっかけ”を伝える場として活用し、具体的なことは個別相談で伴走しています。



できることから始めてみよう
◎子育てをしながら「何か始めたい」と考える人へ、メッセージをお願いします!
ふんわり「何かやりたい」「お金を貯めたい」と思っている人は多いと思います。でも、正直、夢を見すぎて現実と合わず、続かない人も見てきました。地に足をつけて、できることから始めてほしいです。
今できることから一歩踏み出すことで、将来の選択肢が増えます。経済的に自立するって、実はすごく大事。働くのも、学ぶのも、早い方が“ラク”なんです。
子育て中でも、できることからお金の見直しや運用を考えてほしい。私が役に立てるなら、ぜひ力になりたいです。

実際に中村さん自身、扶養の範囲を抜けて働き始めたことで、経済的な自立を手に入れたそう。年齢を重ねるほど、正社員など安定的な働き方を目指すのは難しくなってくることもあり、「だからこそ、早めに動き出すのが大事だよね」と話します。
“雇用”の形も変えていきたい
◎今後の活動について教えてください。
現在は、相談会や講座の企画を続ける一方で、雇用課題の解決を目指し、働きたい人と企業をつなぐ求人マッチング事業もスタートしました。
子育てしながら働くって、本当に情報が少ないんです。私自身が悩んだ経験があるからこそ、同じような立場の人の力になれたら嬉しいですね。

お金も、仕事も、子育ても。すべての課題を一度に解決するのは難しいかもしれません。でも、目の前にある“できること”に一歩ずつ取り組むことで、未来は変えられる――。中村さんの生き方は、そう教えてくれているようでした。
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