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今回お話を伺ったのは、ステンドグラス作家『sunsetwave』の稲葉寿美江さん。お店の名前は、長女の名前から名づけたそうです。やわらかく響くその名前には、家族への愛情と、作品づくりへの想いが込められています。

写真提供:稲葉さん(撮影:@isihi_tomotaka)
子育て中も頭の片隅にあった「ステンドグラスへの想い」
もともと何かをつくることが大好きだったという稲葉さん。「いつかステンドグラスをやってみたい」その思いはずっとどこかにありました。
市外にステンドグラスの教室があることを知り、学ぶことを考えたときはふたりの子育て真っ最中。家事と育児をしながら、決められた時間に教室へ通うことの難しさを痛感。ならば今できることはないかと、ハンドメイドサイトをチェックしたり、どうしたら実現出来るか具体的に計画を練るなど、「今」出来ることから行動に移していたそうです。いつか自分の工房をと、夢も明確に持ちました。
そして、子供が成長し手を離れたタイミングで、本格的にスタート。ゼロからの挑戦を、日々の暮らしの中で積み重ねてきたことが、現在の活動につながっています。

「自分の生きた証を残したい」
なぜステンドグラス作家に?
そう尋ねると、「自分でも理由はよくわからない」と笑う稲葉さん。
ただ、お話を伺っていくと、子どもという存在以外で「自分の生きた証を残したい」という思いがあったからだといいます。
そしてもう一つの理由は、昔から水が好きで、形のない瞬間に宿る美しさに心を奪われてきたこと。
この思いが、光とガラスで表現するステンドグラスに自然と惹かれていったのかもしれません。

本末転倒でも「楽しいからいいの!」
現在はイベントへの出店やワークショップの開催、オーダー品の制作など、幅広く活動中。さらに自身も教室に通ってスキルアップを続けるなど、エネルギッシュに動き続けています。

最近はそれだけでなく、イベント企画まで手掛けているそう。家族の縁でゆかりのある柚野では、春と秋に開催される「柚野てくてく」というイベントを仲間と企画。今年の秋で6回目の開催となり、今では地域に愛されるイベントとなっています。私も2歳の娘と行きましたが、地元ゆかりのお店ばかりで温かく、安心して楽しめる場所でした。



イベント企画でも評判を呼んだ稲葉さんのもとには、本業とは別にイベント企画依頼が寄せられるように。「最近はステンドグラスの制作に加えて、イベント企画が忙しくなってきて、本末転倒なんです。でも楽しいからいいの!」と、笑顔で語る姿がとても印象的でした。

夢の実現へ。工房オープン準備中
今の目標は、長年の夢だった「ステンドグラス工房」のオープン。
壁にぶつかりながらも、周囲のサポートに支えられ、少しずつ形になってきているそうです。
どんな工房にしたいか伺いました。
「ママは、自分の時間を自由に持てないことが多い。だからこそ、決められた日時だけでなく、なるべく自由に参加できる場所にしたい」
「子どもの可能性は無限大。好きな形や色を選んでものづくりの楽しさを知るきっかけを届けたい。」
ステンドグラスは、作る時間も、出来上がった瞬間も、そして家で眺める時間も、すべてが心に残る思い出。今は自分の作品以上に、つくる楽しさやその時間そのものを届けたいと話していました。

子育て中のママたちへ「やりたいこと、諦めないで」
「やりたいことがあるなら、諦めないで。頭の片隅にずっと残っていることって、きっと自分にとって大事なこと。少しずつでもいいから、今できることをやってみて。気になることを調べたり、イベントに行ってみるだけでも、何かが動き出すかも。」
そして最後に、
「子育てって、本当に一瞬。ぎゅっと抱きしめられる「今」という時間も、どうか大切にね。」

日々、子どもと向き合う時間の中で、自分の夢も着実に形にしてきた稲葉さん。その言葉には、母として、そして一人の女性としての実感が込められていました。
今年11月中旬には富士宮市役所内にて稲葉さんが制作したステンドグラス作品が展示される予定。ぜひ足を運んでみてください。




