目次
あなたの家は都市ガス?プロパンガス?
普段の生活のなかで、何気なく使っている電気や水道、ガス。
地震や台風などの災害で、ライフラインが使えなくなってはじめて、
当たり前のように利用できることのありがたさに気づきます。
ところで、あなたのおうちは「都市ガス」ですか?
それとも「プロパンガス」?
都市ガスは、電気や水道のように各家庭へ直接、導管を使って供給される形。
プロパンガス(LPガス)は屋外にガスのボンベがあります。
最近はオール電化のお宅も増えているので、
そもそもガスは使ってないよという方もいらっしゃるかもしれません。
さて今回は「都市ガス」の基地が静岡市清水区にあると伺い、
夏休みだった小学生の娘と一緒に出張ハハラッチしてきました。
雲の上からちょこんと頭を出す富士山。見つかりましたか?
清水から富士宮…
ガスはどこから来て、どうやって富士宮まで運ばれているのでしょうか。
気体のガスが液体に?!
今回、見学に伺ったのは「清水エル・エヌ・ジー株式会社」さんの「袖師基地」。
JR清水駅の東側、エスパルスドリームプラザの北の海岸線沿いにあります。
規模が大きすぎて、敷地が広い!
何と今回の見学は、敷地内を車で移動しながらになりました。
娘も興味シンシン
こちら袖師基地には、海外から採掘された「天然ガス」が、船を使って運ばれてきます。
(主にマレーシアやパプアニューギニアなどから)
こちらは「アンローディングアーム」と呼ばれる、天然ガスを受け入れるための設備。
ここ清水港は水深が20mと深く、波もおだやかなことから、大型船が入りやすいそうです。
ちなみに船で運ばれる際、天然ガスはマイナス162度で冷やされ、
無色透明の「液体」の状態。
その液体が「LNG(Liquefied Natural Gas)エルエヌジー」と呼ばれます。
なぜ液体の状態で運ばれるかというと、気体の状態より体積が「600分の1(!)」に減るから。
そして、その液体のまま「巨大タンク」へ貯蔵されます。
これなら沢山運び、沢山保存することができますね!
袖師基地には、この巨大タンクが3基あります。
地上からひょっこり見えている、お皿をひっくり返したような形の部分は、タンクの上部。
タンクは地下深く掘られていて、そのなかは東大寺の大仏がすっぽり入る位の広さなんだそう!
ガスが「液体」から「気体」へ変身!
液体の状態で運ばれ、貯蔵される天然ガスですが、
実際に利用される「気体」にどうやって変わるかというと…
気化器という装置内のチューブにLNGを通し、
チューブの外側から海水(20度前後)をかけることでLNGが気化します。
奥に見える四角い建物が気化器です。
そして「気体」になった天然ガスは、熱量調整の工程を経て、
地下の導管を通じて、富士方面/静岡方面へと東西へ旅立っていきます。
そのネットワークは、清水から富士川の地下16mのガス専用トンネルを通って
富士市、そして富士宮市まで繋がっているんです。
導管が通っていないエリアには、直接ローリー車で運ぶそうですよ。
実は富士宮のあちこちで利用されている「天然ガス」
ここまで「天然ガス」の旅を追ってきましたが
『そんなこと言われても、うちで天然ガス使ってないからピンと来ないんだけど…』
と、思われたあなた!
それもそのはず、富士・富士宮地区で使用される天然ガスの95%は産業用。
家庭用は3%(件数にすると約4万件)です。(残り2%が業務用)
工業も盛んな富士宮市。
規模の大きな工場のなかには、天然ガスを使っているところもあるとか。
また、富士宮市役所や富士宮市立病院、富士宮市民文化会館などの
公共施設では空調にガスが使われているそうですよ。
日常的に横を通るあの工場や、子どもと一緒に行ったあの場所で、
はるばる海外から運ばれてきた「天然ガス」が使われていたと思うと、感慨深くなります。
当たり前の幸せがずっと続きますように
2011年の東日本大震災から、日本の抱えるエネルギー問題がより一層浮き彫りになりました。
天然ガスは石炭・石油と比べ、燃焼したときに発生する地球温暖化や大気汚染の原因物質が少なく、
酸性雨の原因物質が出ないというクリーンさが特徴。
資源の輸入という面では、石油ほど産出国のエリアが限られておらず、
複数のエリアから輸入できるというメリットがあります。
ですが、天然ガスも限りある地下資源。
私たちの子ども、そしてその子ども達の生きる時代まで、
採掘し続けられるという確証がある訳ではありません。
太陽光や風力など、地下資源に頼らない自然エネルギーを使った発電方法にも、注目が集まっています。
新しいエネルギーの生み出し方へシフトしていく過程として、
少しでもクリーンな資源を使っていくのは、ひとつの選択だと思います。
毎日ごはんを作り、
冷蔵庫で食べ物を保存し、
暑さ寒さを冷暖房で調整したり、
家族でテレビを見たり、
あったかいお風呂に入ったり…
特に今年のような酷暑では、エアコンなしの生活は考えられませんでした。
そんな当たり前の日常が、
様々なエネルギーの生み出し方と、地球上の限りある資源に支えられていることを頭の片隅に置きつつ
自分たちの子どもとその子ども達の世代まで、
当たり前の幸せがずっと続くような社会にできるにはどうしたらいいのか。
堅苦しい話題かもしれませんが
そんなことを生活のなかの一瞬でも、
想いを巡らせ考えていただくきっかけに
この記事がなってくれたらうれしいです。