パワフルかぁちゃん、富士宮のママ・パパのために奔走中!——産後ケア施設『てって』代表・佐野安以さん

2025.06.30 公開

現在、富士宮で初となる産後ケア施設「てって」のオープンにむけたプロジェクトが進んでいます!

※クラウドファンディングは2025年3月で終了しています。

「お母さんと赤ちゃんが安心して過ごせる場所をつくりたい!」という思いをもってこのプロジェクトを立ち上げたのは、富士宮市でいままさに子育て中のお母さんたちです。

今回は「てって」の代表兼保育士の佐野安以(あい)さんのお話を聞ける機会をいただきました。
行動力と子育て中のお母さんたちへの愛にあふれるパワフルなあいさん。
あいさんが目指す産後ケアとは?子育て支援とは?
言葉のひとつひとつに情熱と熱い思いがこめられていました。

東京での保育士時代、仕事もプライベートも全力で楽しむ!


とびきりのハツラツ笑顔のあいさんは富士宮市出身。
幼稚園のころからの憧れだった保育士の夢を叶え、大学卒業後は東京で保育士をされていました。

当時勤めていた保育園では、東京という土地にありながらも、アウトドアやキャンプを行ったり、園児たちと野菜を育てたりと、自然を身近に感じられる活動をたくさん行っていたそう。
その年のクラスの色にあった保育を行えることに、やりがいを感じていたそうです。

仕事はもちろん、プライベートもとにかくパワフルなあいさん。
当時ハマっていたスノボをするため、金曜日の仕事終わりに夜行バスに飛び乗り長野へ。1日中滑り楽しんだらまた夜行バスで東京へ帰り週明けに仕事へ⋯若さあり余る!(笑)

仕事も遊びも充実した毎日を送っていたあいさんは、同じく富士宮市出身の旦那さまと結婚。
結婚後しばらくは東京と静岡の遠距離婚の生活で、東京で大好きな保育士を続けていたところで第一子を妊娠。仕事を辞めることは考えず、東京で出産することを決めていました。

コロナ禍での出産・育児⋯ 富士宮Uターン後の新たな出会いと活動へ

2020年3月、臨月まで保育の現場で活躍していたあいさんですが、ちょうどその頃コロナのニュースが連日報道されるようになり、東京では外出もままならない状況になりはじめました。
このままでは静岡にいる家族が東京に来れず、東京でひとりきりで出産・育児をしなければならない⋯コロナ禍での妊娠・出産をきっかけにあいさんは富士宮に帰ることを決断したのでした。

大好きな職場を離れることは、たくさん悩み決断したことと思います。
最後に担任していた年長クラスの園児たちの卒園を見送り、富士宮の家族のもとに戻ったあいさん。
その後無事に出産、富士宮での育児がスタートしました。

保育士を経験していても、初めての育児はわからないことも多く不安だらけなのは他のどのお母さんとも一緒。
コロナ禍ということもあり、赤ちゃん連れで出かけられる場所は限られており、人と会う機会も少なく孤独を感じることも多かったそうです。

その後第二子を妊娠・出産。
産後、富士宮市で保育士を再開することを考えたそうですが、自身が理想とする保育を行える職場と出会うことは難しく⋯。
そんななか出会ったのがNPO法人母力向上委員会。
コロナ禍でも子育て中のママ・パパ向けのイベントを随時開催していた母力向上委員会のスタッフさんとの話のなかで、あいさんも新たにスタッフの仲間に加わることに。
ここでもあいさんの行動力と何事も楽しむ姿勢がかがやき、0〜1歳の子育て中の方向けの講座「mamacollage」の運営にたずさわり、保育士の経験を生かし子育て中のお母さん・お父さんたちが赤ちゃんとの生活を楽しめる場を企画しています。

私自身も長女が1歳になるまで毎月のように参加させていただいていたmamacollege、そのときの月齢でできる遊び方のコツや発達を促す関わり方などをたくさん教えていただき、毎回とても楽しい時間でした。

そのほかにも、子ども服のフリマとハンドメイド・手づくりお菓子などの販売イベント「ままフリマ」といった、子育て中のお母さんがいままさに行きたい!イベントの企画・運営もされています。

写真提供:佐野安以さん

富士宮に産後ケア専門施設を!新たな夢の実現に向けプロジェクト始動!

2人のお子さんの子育てと、母力向上委員会のスタッフとしての活動などで慌ただしい毎日を送るあいさんですが、心のどこかにいつもあるのは「大好きだった保育士の仕事」への憧れ。
また保育士に戻ることはできるのかな⋯。

そんなある日、富士宮で活動する助産師さんから「富士宮で産後ケア専門施設を作りたい。」という思いを聞く機会があったそう。
あいさん自身の産後の経験、子育て中のお母さんたちとの交流の中で、産後のお母さん・赤ちゃんが安心して過ごせる居場所の必要性について感じていたこともあり、「だったら一緒に作りましょう!」と決断!
富士宮で活動する助産師・保育士の方に加え、あいさんたちの思いに賛同してくれる頼りになるお母さんたちが集まり、産後ケア専門施設のオープンに向けてのプロジェクトがスタートしました。

「ゴールがないものは嫌だ!やるからにはしっかりとゴールを決める!」とあいさん、産後ケア施設のオープンを2025年10月10日に決めて、それまでのスケジュールを逆算して決め、今日まで活動を続けています。

プロジェクトを進めていくなかでまず立ちはだかったのは「”産後ケア”とはなにか、なぜ必要なのか」を多くの人に知ってもらい、理解してもらうという課題でした。
実際、「産後ケア」という言葉自体もここ数年でよく聞かれるようになりましたが、まだまだ馴染みのない言葉かと思います。
私自身も2人目の子を出産するまで「産後ケアってなに?私も使っていいものなの?」と知識も少なく、なにか特別な事情がないと使えないものではないかと思っていました。
でも、実際に産後ケアを利用する機会を得て、産後ケアでほっとする時間、赤ちゃんだけではなく自分やほかの家族も大切にする時間をもてることでこんなにも身体と気持ちが楽になるんだ。気持ちが少しでも楽になれば、赤ちゃんとこんなにゆったりした気持ちで向き合えるんだ、と感じることができました。

「産後のお母さんの悩みごとや赤ちゃんの様子を見たり聞いたりして、お母さんと赤ちゃんのケアを行う」
「産後は栄養をしっかりととってもらえるように、調理師のつくる栄養満点のごはんを食べてもらう」
「兄弟がいる家庭は上の子も一緒に施設にきてもらい、保育士が一緒に過ごす」

あいさんをはじめとしたプロジェクトメンバー全員が出産を経験したお母さん。
自身の経験から、こうなったらいいな、これからのお母さんたちにはこうなってほしいな、という思いを形にし、「自宅に帰った時に安心して育児ができるようになる」産後ケアが必要ということを自分たちの言葉で発信してきました。

あいさんたちの熱い思いを、商工会議所や富士宮市の関係者の方々も温かく受け止めてくださり、プロジェクトを進める上でのアドバイスや応援もしてくださっているそうです。

地域の方とみんなで作り上げていく施設として、施設名やロゴも一般公募したものから投票で選んでもらい、「てって」という名称が決定しました。

現在は10月10日のオープンに向け、施設の内装工事が着々とすすんでいます。
施設オープンにむけて各研修の参加に加え、市内各地のイベント等で「ままフリマ」を開催するなど、てっての活動資金のための活動も随時行っています。

あいさん自身、一度はあきらめた保育士の仕事がてってのスタッフという形で再開できることがとても嬉しいと話します。

思い立ったらすぐ実行!のパワフルなあいさんの行動力が、これから富士宮で出産・子育てをしていくお母さんたちの力になり、今まで以上に安心して子育てできる町・富士宮になる新たな一歩になるのではないかなと思います。

わが子を一生懸命育てるかぁちゃんは世界一かっこいい!

写真提供:佐野安以さん

取材中もとにかく笑顔で、「てって」への思いを楽しそうにお話してくれたあいさん。
あいさんが自分自身にもつかう「かぁちゃん」という言葉が、エネルギッシュなあいさんを表すのにもぴったりです。
あいさん自身がこれからも子供たちに呼んでもらいたい呼び方だそうです。

そんなあいさんから、いままさに子育て中のお母さんたちへのメッセージ…

子育てをしていると目の前のことしか見えなくなってしまう。泣いてる姿にイライラしたり、上手くいかない自分に落ち込んだりもする。
そんな時は共に子育てをしてるママや先輩ママはもちろん、助産師や保育士を思いっきり頼ってください。

頼っていいんです。尊い命を一緒に守りましょう。
我が子を一生懸命育てるかぁちゃんは世界一かっこいよ。
今日もお疲れ様。明日も育児楽しもうね!

写真提供:佐野安以さん

産後ケア専門施設「てって」の最新情報は公式Instagramにてご確認ください。

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ハハラッチライター

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Nyan

いろんな人・モノに出会いたい、作業療法士ママ 富士宮出身。子育て中の今だからこそできることを何でもやりたい!でも家でゴロゴロするのも大好き。子育て世帯はもちろん、誰もが笑顔で健康に過ごせる、富士宮の素敵な魅力を発見していきたいです!

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